第五章

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『どうした裕司?さっきからずっと同じ失敗ばっかりして…。最近お前おかしいぞ。具合でも悪いのか?』   今日もいつも通り、オレは学校へ行くフリをして公園で訓練をしていた。   しかしあのキメラの件以来、オレはずっと考えてしまってイマイチ訓練に身が入らなかった。 佐々木もさすがに三日目になると困ったようすである。佐々木はオレに喝を入れる。   『こんままの感じじゃあいつまでたっても強くなんねぇぞ!!』   こんな練習をしてて何の意味があるというのだ?あの時のキメラと佐々木の戦闘はハッキリ言って次元が違った。 確かに今の訓練を真面目に続ければ強くはなるのかもしれない…。   だが、それはあくまで人間的に強くなったにすぎないのだ。それでは勝てない…。敵は人間であってそうでないのだ。   目には目を、歯には歯を、゙術(すべ)"にば術(すべ)"を、である。   オレは焦りと、この意味無く続く訓練に苛立ちを感じていたのだが、今の佐々木の怒鳴り声にとうとうその苛立ちを表に出してしまった。   『佐々木さん。この訓練を続けて何の意味があるの?それよりオレば術(すべ)"を知りたい。゙術(すべ)"を知って、あいつ達と対等に立ち回りたい!! 今のままじゃ勝てない事くらいわかる…。だからオレは早ぐ術(すべ)"をしりたいんだ!!』   オレが強く反発したのにもかかわらず、佐々木は何も意見しようとはしなかった。   そして、しばらくの沈黙が続いた後に佐々木は意外な事を口にした。   『そうか…解った。嫌々ながらの訓練ほど実にならないものはない。今日はコレで切り上げるぞ。それと…』   佐々木はオレに自分の顔をグイと近づけて笑顔で言った。   『どっか遊びに行くか?』   何を考えているのだ?この男は…。
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