第一章

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 オレはゴールデンウイークの宿題を事前に終わらせるために放課後に一人で図書室へ行き、課題をすませていた。先程も言ったが頭は悪いわけではなかったので、問題を解くのにそんなに苦労はしなかった。   その時は図書室はにはオレと図書係との二人しかいなかったが、図書係はずっと入口に立っていたので二人の間に会話なんてなかった。   何の邪魔も入らず黙々と課題を解いている中、急に誰かが話しかけて来た。女の声だった。   『隣、座ってもいいかな?』   オレは顔もあげずに頷いた。目の前の問題に集中していたので話しかけてきた人物の事など、気にならなかった。…しばらく二人で勉強しているとまた女が話しかけて来た。   『あ…そこの物理の問題、わかんないんだ。よかったら教えてくれないかな?』   オレは物理に関してはなかなか成績がよく、とりあえず授業で習った範囲では解らないところはなかった。 課題も調度きりがいいところであったので、オレはその問題を教えようと鉛筆を置いた。そしてふと女の顔を見たのだ。   それが優子だったわけだ。
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