第五章

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 そういえば佐々木は運転席から出られない状態だったのだ。 オレは急いで佐々木のもとへ駆け寄り、佐々木を挟んでいる運転席を切り落とした。   『…で、裕司。とうとうお前も゙術(すべ)"を知れたんだな。どんな゙術(すべ)"を知ったんだ?』   ようやく自由になった佐々木は、車に挟まっていた体の部分を大事そうにさすりながらオレにそう言った。 初めで術(すべ)"を知ることの出来たオレは、待ってましたと言わんばかりそれに答える。   『オレが知っだ術(すべ)"は操作。オレが物体に与える゙摩擦力"を好きなように操作できるんだ。  本来の摩擦力Fは物体の質量をM、重力加速度をGとおくと…   摩擦力F=μMG   で表されるんだ。ちなみにμのは摩擦係数といってその値が大きくなれば物体を動かすのにより大きい力が必要になる。まぁ、簡単に言うと滑りにくさかな?したがってその値は物体によって変化する。オレはそれらによって起こる摩擦力を自由に゙操作"する゙術(すべ)"を知ったんだ。』   オレの説明を聞いて佐々木はひらめいたように手をポンと叩いた。   『だからキメラや車に軽く触れただけで簡単に切れたんか…単純にして強力な゙術(すべ)"やな。』   その時の佐々木の表情は今までで一番と言っていいほどの笑顔だった。余程オレが゙術(すべ)"を知ったことが嬉しいのだろうか。   オレも嬉しかった。これでやっと敵と同じ土台に立てたのだ。やっと敵討ちが自分にとってリアルになってきた。 あとは戦闘と訓練を繰り返し、経験をつむ事に専念すればいい。   そう考えるとオレのテンションは上がり、いてもたってもいられなくなった。   『佐々木さん!!今から訓練しようよ。オレ、早く強くなりたいんだ!!』
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