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何の問題もなく諫早駅に到着したオレ達は、駅前の階段の前で佐々木の同僚が来るのを待った。
しかし、どんな人なのだろうか?
(…聞いてみようかな?)
『ねぇ佐々木さん。』
『どうした?』
『さっきから気にはなってたんだけど…同僚ってどんな人なの?やっぱり佐々木さんと同じで゙術(すべ)"を知ってたりするの?
まぁ話せないにしてもせめて名前くらいは教えて欲しいんだけど…。』
佐々木は機嫌良くフフンとかるく鼻を鳴らし、人差し指を立ててオレに言った。
『名前はだなぁ、綱崎 幸一(つなさき こういち)っていうんだ。オレと同じで特殊作戦軍所属の人間やな。
術はもちろん知っとるが、今言ってしまうと面白くないやろが?まぁ会ってからのお楽しみや。』
この男は…この状況を何とも思わないのか?むしろ楽しんでいるように見える。
オレが今どれだけ不安な気持ちでいっぱいなのかも知らないで…。
オレは佐々木の同僚がここに現れない事を強くのぞみながら時間がたつのを待った。
『………あ、来て…』
『え?どの車?あの白いやつ?』
『……ない』
『…………』
そんなこんなで20分ほど時間が過ぎた。目の前にはオレ達が来た時から止まっている新車並に綺麗な黒の車があるだけだ。
佐々木が携帯電話を取り出して電話をかけはじめた。きっと待ちきれなくなったのだろう。
プルルルルル
゙お客様のおかけになった電話は……"
圏外かよ…。
『ごめ~ん!!待ったやろ?』
その声は何故か駅のホーム側から聞こえた。
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