第五章

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………   『だあああ!!やられた!!飯でもおごって、その後にでも話す予定やったんだがな。』   沈黙を破ったのは佐々木のでかい声と不必要なまでのオーバーリアクションだった。   『まぁしかし、これでもうお前の顔色を見ながら話す必要が無くなったわけや。単刀直入に言うぞ。   幸一、お前に協力して欲しい。』   幸一も予想されていたことなので驚く事はなかった。眼鏡をつけ、眉毛をひょこりと上げて続きをどうぞと、掌を佐々木に向ける。佐々木はそれを確認し、どっしりと構えて続きを話した。   『何度かキメラと戦って気付いたんやが、5年前の頃に比べて性能が上がっとる。まぁそれぐらいはスライムがホイミスライムになったくらいやから全然問題無し。しかしな、これでわかったことば白い家"の連中は5年間で著しく成長したって事や。゙術(すべ)"を知った人間を多数揃えていてもおかしな話しじゃない…』   『…だからこちらも゙術(すべ)"を知る人間を増やし、連中に対抗する、か。』   幸一が佐々木の話しの途中で割って入ってきた。しかし、幸一の顔は険しい。   『まぁ解らないこともないけど…オレはここ数年、まともに゙術(すべ)"を使った記憶がない。それに運動神経も並レベル。ただの足手まといになるだけだし、直接上官から受けた任務じゃないからね。それに必要以上に死ぬ思いはしたくないよ。』   幸一はすまないね、といって深く頭を下げた。何度か佐々木が聞き直したが結果は変わる事はなかった。   『じゃあ仕方ねぇな。帰るか?裕司。』   佐々木はあっさりと諦め、玄関まで歩いて行った。そしてわざとらしく幸一が聞こえるくらいの声を出して言った。   『そういやぁ被害者の゙優子"という人物、調べてみたんだが可愛いお友達がいっぱいいるんだなぁ!!おまけに友人はほとんどが女子校で出会いが少なくて困ってるんだとか…。まぁ、オレと裕司には彼女がいるから関係のない話なんだがな。…それじゃ!おじゃましました~。帰るぞ、裕司ぃ。』               『佐々木…ちょっと待て。』     幸一がまた眼鏡を外した。
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