第六章

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『朝だぞ!!起床や。二人とも起きろ!!』   佐々木の朝の一声が聞こえるのとほぼ同時に、カーテンが勢いよく開けられ、暗闇だった部屋に光りが差し込まれた。   時間は、6時か…。   布団からノソリと這い出ると、佐々木が狭い台所で朝の準備をしていた。 気合いをいれてエプロンまで着用していたその姿は朝見るにしては刺激的過ぎるほどユニークだった。というか、エプロンなんて何処から出してきたんだ?   しばらくするとテーブルに朝食が並べられた。メニューは焼き魚に卵焼き、味噌汁、納豆。日本の朝食の王道メニューである。   『さっさと食べて準備しろよ。予定通り0800に出発するんやけんな。……お前もや!幸一!!』   佐々木はまだ布団で包まっている幸一に軽く蹴りを加えながら言った。幸一はむにゃむにゃと寝ぼけ眼で起き上がる。   こんな雰囲気で戦に行くのは少し腑に落ちないが、これも佐々木の気遣いだろう。 最初から張り詰めた空気だとすぐに切れてしまう、特に戦いに慣れていないオレには起きやすい問題だろう。   オレ達は少し急ぎ足で朝食を済ませ、出発の支度をした。そして予定通り、0755にアパートの駐車場に止めてある幸一の車周辺に集合した。   そこでさらに、出発に向けての最終点検を行った。   『裕司、これを持ってて。』   幸一はオレの手をとり、そして何故がスニッカーズを3つ握らせた。どうしてスニッカーズをくれたんだ?オレが不思議な顔をしていると、幸一はニコリと笑いながら言った。   『これはオレ達の中での゙お守り"みたいなもんだよ、任務遂行のね。それに…スニッカーズは腹持ちがいいだろ?』   生まれて初めてもらったお守りが男からで、さらにスニッカーズか…。まぁ、一生思い出に残るくらいのインパクトはあるか。   オレは幸一に軽く礼を言って、それをポケットに突っ込み車に乗車した。
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