第六章

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『おい…あそこ。』   先頭を歩いていた佐々木が止まり、前方を指さした。   『あそこに少し土が盛り上がっとる所があるやろ?あの位置が偵察班の基本待機位置や。』   オレと幸一は30メートル程先にある偵察班の待機位置を確認し、急いでそこへ向かった。       待機位置へたどり着くとそこには大多武演習場入口にいた隊員と同じ格好をしている人達が、5名まとまって前方を気にしながら座っていた。   佐々木も幸一も慌てている様子もない。この5名が偵察班で間違いないだろう。 早速、佐々木は偵察班長である゙クール扇(コードネーム)"を呼び出した。   『佐々木2等陸尉ですね。ブルーアイズから話は聞いております。敵の拠点の情報をお伝えします……。』   クール扇の話によると、ここから道沿いに100メートル程進んだ所にある杉林に、一本だけ松の木があるらしい。 その松の木の枝の下から2番目を上に持ち上げると地面に四角い穴があく。 その穴が敵の拠点の入口との事である。つまり、大多武演習場の拠点は地下にあったのだ。   拠点を地下につくれば敵である自衛隊に隠れて行動が出来る上に、自衛隊の訓練内容も確認できる。 連中もなかなか考えたものだ。   『了解、掌握した。ありがとな、クール扇。引き続きここで待機をしててくれ。』   オレたちが先へ進もうと立ち上がった時、クール扇は慌てて佐々木の袖をつかんだ。   『ちょっと待って下さい!!佐々木2等陸尉…それと、あの拠点にば術(すべ)"を知る人間が一名存在している事を確認しています。十分にご注意を……』   『了解。じゃあ、行ってくる……』   クール扇と4人の偵察班に敬礼を交わし、オレ達は拠点のある松の木へ向けて歩き出した。
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