52人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
話は今にもどる。太陽の日差しが強い8月のことである。オレは夏休み中ではあったが進学のために毎日高校へ通っていた。今日もいつも通り、学校へ行こうと朝の支度をしていた。
『やだ、また同じような事件よ。気味悪いわね…。』
母がテレビを見ながら言った。またあの事件のニュースである。
5年程前から行方不明や殺人事件が九州地方(ちなみにオレは長崎県に住んでいる)で急増していた。しかも、そのどれもが未解決のままである。あるテレビでは『もしかして霊的なものでは?』とまで言われていた。
しかし、今月に入って更にその件数が増えたのだ。登校前のオレに母は心配そうに言う。
『最近は物騒だから、裕司も気をつけるんよ。』
『大丈夫だよ。そんな事、心配するだけ無駄だよ。』
オレは面倒臭く手をかるく上げて家を出た。だってそうだろ?オレは普通の高校生、事件になんて巻き込まれるわけがない。
それよりオレはまた優子に会えるという喜びと焦りでいっぱいだった。
最初のコメントを投稿しよう!