第六章

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 オレ達は松の木の下から2番目の枝を確認した。見たところ、他の枝とのかわりはない。   『今から枝を動かす…何かあると危ないから離れていてくれないかな。』   幸一に言われて佐々木とオレは松の木から離れてそこから見守る事にした。 佐々木が言うには、こういう何が起きるかわからない時には、幸一の゙術(すべ)"が1番役に立つそうだ。……そういえばオレはまだ幸一の゙術(すべ)"がどんなものなのかを知らない。   そして幸一は深呼吸をして、ゆっくりと枝を上に動かした。   ゴゴゴゴゴ……   重低音とともに地面が微妙に揺れ動き、オレ達はバランスを崩した。 20秒ほど揺れは続き、やがてまた静かな林に戻った。   オレと佐々木は後方から幸一の様子をうかがう。   『大丈夫だよ。罠はないみたい…二人ともこっちにおいでよ。』   ……よかった。オレと佐々木は胸を撫で下ろし、幸一の方へ向かった。   そこには人二人分くらいの大きさの穴が開いており、階段のようなものが付いていた。その中からは肉眼で見えそうなほどの゙負の空気"が溢れ出しているように感じる。ここが入口か……。   中に入る前に佐々木はオレの肩をポンと叩き、小さい声でアドバイスをくれた。   『外に敵がいないということは、敵の勢力はあちこちに分散されてない。したがってこの地下には敵の全勢力がある訳や。心してかかれよ…!!』   そして佐々木と幸一は地下へと入って行った。   …これからオレの戦いが始まる。オレは小さく震えている自分の膝を思いきり殴り、二人の後を追った。             ………ちゃんと守ってくれよ、スニッカーズ。
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