第六章

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 案の定、穴からでてきたのはキメラであったがオレ達はキメラが出現した事にではなく、もっと違う事に驚きが隠せなかった。   『こりゃ半端ねぇな…こんだけの数の動物、どっから拾ってきたんだ?』   『…小さい動物園ひとつ分はありそうだね。』   『もう!佐々木さんも幸一さんもふざけないでよ!!こんな数のキメラに囲まれて一体どうするつもりなの?』   そう、数がとんでもなかったのだ。軽く数えただけでも30匹はいる。   しかし、佐々木と幸一から余裕の表情は消えない。佐々木はニコリと笑って動揺しているオレの頭をポンと叩いた。何か得策でもあるのだろうか? そして佐々木は右肩をぐるぐると回しながら言った。   『簡単やろ?全部潰してやるんだよ。』   …そう言うと思ったよ。   幸一は佐々木のそのセリフを聞くと、ゆっくりと眼鏡を外してポケットにしまった。   (外して戦えるってことは、あの眼鏡は度が入ってないのかな?)   どうやら自衛官二人組はやる気のようだ。オレも手刀をつくり、戦闘体勢に入る。 しかしこんな大人数の乱闘は初めての経験である。オレの膝は不安と恐怖で小刻みに震えていた。   バシッ!! オレの尻を佐々木が勢い良く叩いた。 『裕司、こんなもんでビビッてんじゃねぇ。オレと幸一はプロや。こんな状況はいくらでも経験しとる…心配はいらんぞ。お前はたった10匹だけ倒せばいいだけやぞ?』   佐々木の闘魂注入のおかげで少し気が楽になった。   そうだな、10匹…               って…きっちり三等分かよ!!!
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