第六章

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そんなオレの全力のツッコミは空振りをし、佐々木は"術(すべ)"を使ってまとめてキメラ2匹を倒した。 佐々木の先制攻撃によって刺激されたキメラ達は一斉にオレ達に襲い掛かって来る。   『くそ…腹をくくるか!?』   オレは手刀でキメラに斬撃を決める。しかしなかなか急所をとらえることが出来ず、一撃で仕留める事ができない。 やはり佐々木とはキャリアが違うのか。   オレと佐々木が戦いを続けている中で、幸一はずっと下を向いたまま何もしていない。サポートタイプの"術(すべ)"なのだろうか?   そうだとしたらもっと後ろの方で待機しておくのが無難だろう。こんなに前に出て…何かやりたい事でもあるのか?   グォォオオオウ!!   そんな中、一匹のキメラが幸一めがけて飛び掛かった。そして丸太のような腕を力の限り振りかぶる。だが幸一は全く動こうとしない。このままでは………!!   『幸一さん!!危ない、避けて!!』   グォォオオオウ!!           『………大丈夫だよ。』   一瞬の出来事であった。幸一はキメラの腕が触れるか触れないかの距離で身をかわし、そのまま背後に回って首にある動脈をナイフで撫でたのだ。   撫でたの首からは穴を開けたスプレー缶のように勢いよく血が吹き出し、やがてキメラの機能を奪った。   早い…!!あまりにも無駄が無さすぎる動作。まるで゙キメラの速度が減少した"ように思えるほどの美しい動きで敵を仕留めた。 それから勢いをつけた幸一は自ら敵の団体へ突っ込んで行き、機械的と言えるような確実な動作でどんどん敵の数を減らしていく。   ゙術(すべ)"を使わずしてこの戦闘力……オレはこの時に初めて特殊作戦軍の実力を身をもって知らされた。         そしてオレが3匹も倒さないうちに、キメラは全滅した。
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