第六章

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『相手が攻撃してきた拳を対象にとればどうなる?パンチのスピードが150km/hだとしたら……1kmあたり150時間かかる事になる。 対象が速ければ速いほど、逆に対象は遅くなる。…これがオレの゙術(すべ)"だよ。』   そうか!!だからキメラと戦ったあの時にオレは、幸一に攻撃するキメラのスピードが遅くなったように感じたのか…実際に遅くなっていたとは思わなかった。   幸一のアパートで、佐々木の投げた小銭が幸一にぶつかる寸前で勢いを無くして地面に落ちたのも、おそらくこの゙術(すべ)"を使ったからだろう。   オレが考え込んでいると、佐々木は少しイライラした様子で言った。   『おい、こんな所にいつまでいてもしょうがねぇぞ。早く扉の方へ行こうぜ。』   確かに、障害となっていたキメラはすべて倒した。後は佐々木の言うとおりに前に進む以外の選択は無い…だが。   ついさっき幸一が罠のスイッチを踏んで一騒動起きたというのに、佐々木はそんなもの知るかと言わんばかりにズカズカと扉の方へ歩いて行った。   コイツ、本当に特殊作戦軍の人間か?   『佐々木!!いくらなんでもそれはマズイよ。もうちょっと警戒心をもってさぁ…』   幸一は罠を身をもって体験したので罠に対する警戒心が強くなっていた。たまらず佐々木の元へ駆け寄る。しかし、本人は実に面倒臭そうである。   『お前もちっちぇ~なぁ~!!気にして歩いても罠にかかる時はかかるし、かからない時はかからないんだよ!!まったく、チキンだなおま………』   ドゴン……!!   ……?   佐々木がいきなりオレの立っている所までゴロゴロと転がってきた。急に後転でもしたくなったのだろうか? しかし、佐々木は苦悶の表情で腹部を押さえてうずくまっている。   もしかして………。   『敵か!?』   オレが叫んだ時、間髪を入れずに頭上から箱のような物が降ってきた。あまりに突然すきでオレは避ける事が出来ない。   『裕司君!!避けるんだ!!』   ドオオオン!!   オレと佐々木は四角い箱のような空間に閉じ込められた。壁を叩いてみるが破壊できるような強度ではない。どうやら゙金属"の箱のようだ。   しばらくすると前方の床が少し開いて、下から何かが上がってきた。
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