第一章

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 学校にはなんの問題もなく着いた。当たり前ではあるが。そして今日の当たり前の生活が始まった。放課後まで我慢すればオレの待っている時間がくる。           ……あっという間に授業は終わり、下校の時間となった。優子とクラスは別だったのでいつもオレ達は図書室で待ち合わせをしていた。   オレが図書室に着いてしばらくすると、優子が入口からひょこっと顔を出した。そしてオレを確認すると満面の笑みを浮かべてニッコリと笑った。有り得ないくらいに可愛い。オレは緩みきった顔でヘラヘラと笑う。   そしてしばらく二人で勉強をした。まぁ、オレは全然はかどらなかったが…。黙々と勉強をしていた優子が筆を置き、口を開いた。   『ねぇ、今日は遠回りして帰らない?』   初めて優子からの誘いだった。いつもは何をするもオレからで、優子はそれに後ろからついてくる、いわゆる大和撫子のようなキャラクターである。 しかし、今日は違った。優子から誘ってきたのだ。オレはおもちゃを買ってもらった幼児のように飛び上がりながら喜んだ。優子はそんなオレをみて恥ずかしそうに顔を赤らめて下を向いた。   オレ達は早速、勉強道具を片付けて図書室をあとにした。   時刻は午後6時をまわろうとしていた。
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