第七章

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『まずは挨拶程度…』   織田は勢いよくスーパーボールを床目掛けて投げ付けた。   おそらくこの狭い空間でボールを何度もバウンドさせてあらゆる方向から攻撃する作戦だろう。スーパーボールを使った立ち回りなどそれ以外考えられない。   予想通りスーパーボールは床と衝突をし、今度はオレ目掛けて飛んできた。しかし、予想外なことが一つだけあった。それは……。   『……速い!?』   速度である。跳ね返りの速度が床との衝突直前の速度より明らかに速い。   これが当たってしまっては痣(あざ)だけでは済まないだろう。オレはボールが自分に当たるギリギリのところで何とか身をかわした。   しかし、織田の真の狙いは今のオレの行動にあったのだ。   オレがかわした事によりボールはオレの後方の壁に衝突して跳ね返る。もちろん更に速度を上げて。それが何度か繰り返され再びオレ目掛けて飛んできた。もはやかわせる速度ではない。   『まずい!!』   ボールは反射的に出したオレの左上腕にみしみしと音を立てて食い込んだ。オレは堪らず声にならない悲鳴をあげる。   『ぐ…あ!?これが本当にただのスーパーボールなのか?』   しかし織田は敵に大ダメージを与えたにも関わらず不満の表情を浮かべていた。   『あれだけの衝突をすれば骨がイッてもおかしくないはずなのに…もしかして…。』   織田の視線がオレの後方に向けられた。視線を追うとそこには佐々木がオレに向けて腕を延ばしていた。 斥力を使ってダメージを軽減してくれたのか?しかし佐々木の足元はおぼつかない様子である。まだダメージが大分残っているのだろう。   『佐々木さん!!』   『死に損ないが余計な真似を!!こうなったら二人とも同時に天国に連れて行ってあげます!!』   佐々木はオレに近づき、小さく耳打ちをした。
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