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『織田っちゅう奴の゙術(すべ)"は速度系で間違いない。オレ達と幸一を別にしたからな…速度系じゃ幸一には勝てない。』
佐々木の言う通り、幸一をオレ達と別にしたのば術(すべ)"の相性が悪いからだろう。しかし詳しくはわからない。もっと敵の行動を観察しないと…。
オレは先程とは一転してガードを上げ、更に重心を下げて防御の体勢に移行した。
その行動を見て織田は、込み上げてくる笑いを押し殺すように言う。
『くくく…。防御に徹してオレの゙術(すべ)"を探ろうって考えですね?別にオレは自分の゙術(すべ)"を隠しているわけじゃないんですよ。話したところで何も変わらないから言わないだけなんです。
ですが、今回は君達の実力は実に素晴らしい。特別にオレの゙術(すべ)"を教えましょう。』
『何勿体振ってんだ?焦らすのはいいからさっさと教えろ!!』
織田は佐々木の言葉に対してヤレヤレと呆れたように肩を上げる。
『まぁそんなに焦らないで下さいよ。今に説明しますから。
オレの゙術(すべ)"は操作…物体との衝突における゙跳ね返り係数"を操作する能力です。』
佐々木は身を乗り出すように織田に問い掛けた。珍しく動揺しているようである。
『お、おい!跳ね返り係数を操作って…゙1以上の値"にもなるのか!?』
織田はニヤリと笑ってゆっくり頷いた。
『鋭いですね…さすが特殊作戦軍の人間だ。
答えはYESですよ。その気になれば5にも10にも出来る。』
…5にも10にも!?その数値がどれほど危険なのかはオレでも解った。
物体が壁(床)と衝突運動をする時、物体は衝突直前の速度を超えない範囲の初速度で跳ね返る。
その゙跳ね返り具合"を表すのが跳ね返り係数であり、その値が゙1"であれば物体は衝突直前の速度と同じ速度で跳ね返る。
早い話…物体が跳ね返る時、跳ね返り直後の速度は跳ね返る直前の速度の゙跳ね返り係数の値"倍になるという事だ。
例をあげると…100km/hで壁に衝突したボールがあり、その時の跳ね返り係数の値が0.5であれば跳ね返った時の速度は50km/hになる。
ここで注意が必要なのは、゙跳ね返り直後の速度は跳ね返る直前の速度を超えない"という条件だ。したがって跳ね返り係数の値(e)は必然的に゙0≦e≦1"となる。
………通常は。
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