第七章

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 だが、織田は違う。そもそも゙術(すべ)"を知る者にとって通常、常識、当たり前などという言葉はなんの意味も持たない。それは実際に゙術(すべ)"を知る自分がよく知っていることである。   『二人とも黙り込んで、早くも戦意喪失ですか?まぁそのほうがこちらも始末しやすいので助かりますが。……死んで下さい。』   織田はまた床にスーパーボールを投げ付けた。バウンドしたボールは勢いを増してオレに襲い掛かる。 しかし避けようにも避ければさらに速度を増して再び飛んでくる。   『仕方ない…。』   ダメージを最小限にするため、なるべく早い段階でボールに当たるようにする。オレはやむを得ず左腕を盾代わりに使った。   ガス!!   『裕司!大丈夫か!?』   『……痛ッ!大丈夫。佐々木さんの゙術(すべ)"のおかげで、そこまでのダメージは無いよ。』   『思ったより佐々木の゙術(すべ)"は厄介ですねぇ…ならば。』   織田の視線が変わった。的をオレじゃなく佐々木に変更したようだ。 佐々木は最初に受けたダメージがまだ残っている。さらにダメージを受けるのは非常に危険である。でもどうすれば…。   ………。   そうか!!   再度織田が床目掛けてスーパーボールを投げた瞬間、オレは思いきりそれに飛び付いた。   『間に合ってくれ…!!』   ボールは床につく寸前のとことろでオレの手に収まった。…勝てる!!   『……何!?』   オレはすぐに体勢を立て直し、右の手刀で織田に斬撃を加えた。慌てて織田は後ろに捌こうとバックステップをする。   『あったれぇええ!!』   斬撃は致命傷を与えるまでとはいかなかったが、後ずさりする織田のワイシャツを紅く染めた。オレは右手に付いた血を払い、織田に言った。   『どれだけ跳ね返り係数が増えようがバウンドさせるまえにキャッチしてしまえば恐くない!! 佐々木さん、スーパーボールがオレの手にくるように万有引力を操作して!!』   この勝負、勝てるかもしれない……!!
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