第七章

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『能力者、一名捕獲しました…………。』   幸一は携帯電話で誰かと連絡をとっている。話の内容からして部隊の指揮官か何かだろう。   ゙術(すべ)"を知ってる人の事、能力者って言うんだな…。   それにしても、先ほど見せた佐々木の技…とんでもない技だ。一撃で心臓の機能を停止させるなんて……   停止?       !!!   『佐々木さん!!機能を停止って織田は大丈夫なの!?』   佐々木はオレの質問に得意気に答える。   『大丈夫。オレの微妙な手加減のオカゲでただ気絶しとるだけや。オレも殺しは必要最小限にしたいもんでな。とりあえずコイツの身柄は本部や。 ところで裕司…』   『何?』   『助かった!!お前がいなかったらオレは今頃トムとジェリーに出てくるチーズみたいに穴だらけになっとるところやったぞ。』   そう言って佐々木はオレの頭をわしづかみにして乱暴に撫で回した。   そうだ…オレは初めて仲間の危機を救ったのだ。今まで荷物同然だったオレであった分、今回の事によりかなりの自信をつけることが出来た。   幸一もオレに優しく笑いかける。   『まさか隔離して戦ってくるとは思いもしなかったからね。今回は裕司君が居てくれなかったら佐々木は間違いなくやられていたよ。本当にありがとう、裕司くん。』   オレ達はしばらくの間笑い合った。…これで先に進むことが出来る。次の部屋にあの男がいるのかもしれない。   『佐々木さん、幸一さん、早く次の部屋に行こう。オレはここで止まっていちゃ駄目なんだ。』   佐々木は少し考えている様子で言った。   『まぁ、この部屋でこんだけの数の敵を出してきたって事は次の部屋には意地でも入れたくないともとれるな…。 しかし待て。お前、さっきの゙術(すべ)"でずいぶん力を使いすぎたやろ…まだ休んでおいたほうがいい。』   『でも……!!』   『そうよ。佐々木の言う通り…。むしろ永遠にオネンネしててもいいのよ。』         ………?
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