第七章

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 女の声?この部屋に女はいないはず…   『敵か!?幸一、四周を警戒しろ!!声が近ぇ…どっかにおるぞ!』   佐々木の指示をうけ、幸一が周囲の警戒にあたろうとした時に状況が入る。       ゴッ……!!     突然、佐々木のすぐ隣りに見たこともない女性が現れ、腹部に鉤突を打ち込んだ。佐々木は堪らず地面に膝をついてしまう。   『が…はっ!!またオレかよ………。』     よかった。オレじゃなくて…。     女は二度目の不意打ちをうけて顔を歪ませている佐々木を仁王立ちで見下していた。その顔はまさに鬼の形相である。   『よくも私の弟に手をだしてくれたね……。この代償は命をもって換えさせて貰うよ!!』   そういうと女はオレ達がいるのと反対の方向に走り出した。   この一見何の意味も無いような行動…だがしかしこれば術(すべ)"を使うための予備動作かなにかだろう。少し様子を見る必要がある。   女は走る速度を上げた。   ……!!!   女が速度を上げると同時に、その女の体がだんだん横に潰れていき、やがて消えてしまった。   『どこだ!?どこに行ったんだ。』     『……ここよ。』   …ガス!!   女は幸一の背後に突然現れ、下段廻し蹴りを放った。体重の乗った蹴りは幸一の膝の裏に容赦なく食い込む。   『ぐあ…!!アンタ一体どんな技を使ってるんだ!?』   女は相変わらず物凄い形相でオレ達を睨み付けている。   『私の名前ば織田ヒトミ"。゙術(すべ)゙は操作でローレンツ収縮の限界となる速度を好きなように調整できる能力よ。 幸一、あんたがいなければ弟はこんな目に遇わなかった。……絶対に潰す!!』           いや、名前は聞いてない。
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