第七章

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『幸一!!』   突然、幸一は何かに引っ張られるかのように横に吹き飛んだ。それによりヒトミの攻撃は幸一には当たらないぎりぎりのところの空を切る。   ヒトミはすぐ感づいてに佐々木を睨みつけた。   『佐々木…あんたの仕業ね。』   佐々木は余裕たっぷりの顔をして自分の頭を指でつついた。   『よくすぐに気が付いたな。さすが拠点の色感や…頭もキレる。 ココはチームワークを存分に発揮させてもらうぞ。』   …そうか。佐々木の゙術(すべ)"で幸一と部屋の壁との間の万有引力を一瞬だけ強めたのか。佐々木の゙術(すべ)"は典型的な攻撃型と思っていたが、サポートとしての使い方もあるのとは。   しかし強がってみたものの、あくまで防御面が上がっただけで肝心のヒトミへの攻撃方法はまだ思い付かない。それではいつまでたっても倒すことはできない。 このままでは少しずつダメージを蓄積される一方である。   『チームワーク?ふふふ……ダメージを減らすだけで私に攻撃できるのかしら?完全に消える私に攻撃を当てる事ができるの?この戦いは始めからあなた達が負けるようになっているのよ!!』   『ゴチャゴチャうるせえな。ヤマンバが……。』   佐々木ば術(すべ)"を使い、床に落ちていた壁のかけらをヒトミに向けて飛ばした。しかしそれもヒトミの゙術(すべ)"によって簡単に回避されてしまう。姿を消したままヒトミは耳障りな笑い声をあげる。         ヒトミの゙術(すべ)"は姿が完全に消えるので佐々木や幸一の゙対象をとる"必要のある゙術(すべ)"は全く受け付けないみたいだ。 二人の゙術(すべ)"がほぼ機能しない今、ここを突破するにはオレの゙術(すべ)"が非常に重要になってくるはずだ。   しかしどうオレの゙術(すべ)"を使う…?   『ほらほら、ボディがガラ空きよ!!』   ヒトミは必要以上に幸一を狙う。佐々木の゙術(すべ)"のおかげでなんとかクリーンヒットは免れてはいるが確実にダメージは蓄積されていった。     …ダメージ?     この瞬間、何かがオレの中で引っ掛かっていた。   『オイ裕司!!なに突っ立っとるんや!?幸一を何とか援護しろ!!』   佐々木は連続で゙術(すべ)"を使用し続けているせいで体力をかなり消耗している様子である。急がないと時間がない。     しかしこのわずかな違和感が気になって仕方がない。
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