第七章

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ヒトミが幸一に攻撃をし、それを瞬時に確認した佐々木が゙術(すべ)"で幸一の動きをコントロールする。そして攻撃し終わったヒトミは再び姿を消した。       ………。       オレは緩んだ糸が一気に緊張するような感覚を感じた。そうか!!そういうカラクリだったのか。   オレの考えが当たっていれば、あとはオレが幸一とどれほど団結できるかがこの勝負の鍵になってくる。不安は募るが、これ以外の方法はおそらく無い。   オレはがむしゃらに幸一に向かって叫んだ。   『幸一さん!!幸一さんの゙術(すべ)"をオレに使って!!』   疲れ果てている佐々木もさすがに驚きを隠せず、オレの方を振り向く。   『ハァハァ、おい…裕司、お前幸一の゙術(すべ)"がどんなんか知らないわけやないよな?馬鹿な真似はよせ……!!』   『理解してる上での行動だよ!!いいから急いで!!』   幸一は何も言わずに頷き、オレに向かって手を伸ばす。間に合ってくれ……   『とうとうトチ狂っちゃったみたいね。まぁこれでさらに潰しやすくなるわね……』   ヒトミは再び幸一の背後に姿を現し、攻撃の体制をとる。         ……今だ!!         ガス!!     ボト……     『ぎぃやああああ!!』     幸一と佐々木は呆気にとられ、口をポカンと開けていた。   それもそのはず…ヒトミが幸一に攻撃をする瞬間にオレが弾丸のようなスピードでヒトミのすぐ近くを通過し、その直後にヒトミの両腕の肘から下が地面に落ちたのだ。       攻撃をうけたヒトミ自身も何がおきたのか理解できてなく、肘から大量に流れる自分の血液を見てパニック状態に陥っていた。     そうだ…         作戦は成功したんだ。
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