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佐々木の説明によると、自衛隊もそうだが組織の指揮官というのは滅多な事がない限り敵に顔を見せることはないらしい。
指揮をするものがいなくなると組織は団結を失い、組織としての能力の低下や内戦が起きてしまう可能性があるため、指揮官は1番安全な場所にいる事がほとんどなんだとか。
それに顔を敵に暴露されると狙撃手等の標的にされる危険性も高くなる。
今回指揮官であるヒトミがわざわざ戦闘に参加したという事は、その先にあるモノは組織の全勢力をもって守る必要性があるのだと見て間違いない。
『それじゃ、パンドラの箱を開けさせていただきますか?』
何の危険性もないと確信した佐々木と幸一はずかずかと扉に近づいていった。
扉の前に立ったオレは、不安と期待が入り交じって複雑な心境になっていた。
もしかしたらこの扉の向こうにアイツがいるかもしれない…やっと優子の仇討ちができるかもしれないという期待はある。しかし仇討ちをしようにも今のオレがどうこう出来る強さじゃなかったらと考えると逆に不安で仕方なくなる。
しかしそんなオレの事も知るはずはなく、佐々木は今にも扉を開けようとしていた。
『念のため…扉には触れないようにしようかね。』
そう言って佐々木ば術(すべ)"を使って扉にキメラを勢いよくぶつけた。
扉の一部が壊され、中からは大勢の悲鳴が聞こえてきた。
オレの胸の鼓動は徐々に速度を増していく。
『大丈夫や裕司…そう焦んな。アイツはここにはいねぇよ。』
『え……?』
佐々木は下を向いて動けなくなっていたオレの肩を叩いてそう言いうと、乱暴に部屋の中へ入っていった。
『よく聞け馬鹿共!!この施設の所有権は只今をもって我ら陸上自衛隊へ移った。このあとお前達には尋問を実施する。死にたくなかったら頭ん中よく整理しながら一列に並べぇ!!』
『まったく…アレじゃ、どっちが悪者かわかんないよね。』
幸一が呆れた様子でオレの肩に腕を乗せる。
そしてニコリと笑ってオレに言った。
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