第七章

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『5年前の脱獄者は今まで敵に発見されないように、それぞれがばらばらにに暮らしていたんだ。 でもこのモニターによると、今回の脱獄者が5年前の脱獄者の一人に偶然出会ってしまったらしい。 そしてその出会った2人が対馬市の各地に散らばった仲間を集め始め、゙白い家"へ攻め込もうとしているみたいだね。   すでに一人敵の能力者が脱獄者に倒されているみたいだし、連中も恐れているんだと思うよ。 だから危険な人物は力をつける前にその場で処分しているんだろうね。   ちなみに今回の脱獄者の名前ば真心(しん)"で、倒された敵の名前ば畑島 大志(はたしま だいし)"らしいよ。』   佐々木は、そのせいもあって今ば術(すべ)"が使える人間よりもキメラ達を主に戦闘に参加させていると話した。   必要なことをオレに話してくれた佐々木と幸一は再びモニターの方に目をやり、必要な情報を貪欲に探し出す。     …………     数分間の沈黙が続いたが、佐々木の言葉でそれは打ち破られた。それはこれからの行動に欠かせない情報で、同時にオレが喉から手が出るほどに欲しがっていた情報でもあった。   『2つ目の拠点の情報が見つかったぞ!!……どうやら黒木町みたいだな。指揮官はやはり菅藤か……』       ……菅藤!?       『佐々木さん、織田も言ってたんだけど、その菅藤ってもしかして……』   佐々木はうつむいて深いため息をついたが、すぐに首を縦に振った。   『長崎の拠点の長の名ば菅藤 邦助(かんとう くにすけ)"…。お前の女に手を出した張本人や。』   一瞬にして鳥肌が立った。薄々は感じていたのだが、それをいざ確信してしまうと体が畏縮してしまう。 オレは見えない何かに縛られているかの様に、その場にしばらく立ち尽くして動けなくなってしまった。   そんなオレを見てなのか…幸一はそそくさと部屋に爆弾を貼付け、ここから離脱するようにオレ達に促す。   重要な情報をメモにまとめた後、オレたちは織田姉弟とこの部屋にいた数名の従業員を連れて外へと歩いた。
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