おんぶ

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おんぶ

月日は流れ、冬が訪れる季節に入る頃、じいちゃんはもう一人で歩く事すら困難になっていた。 いつもの元気がなくなり、本当別人のように思えた。 久し振りに医者から一時帰宅の許可を得て、その時のじいちゃんはとっても喜んでた。 やっぱり実家がいいんやなってつくづく思った。 車から出て家に向かう間、じいちゃんは歩けないので俺が変わりに足になってあげた。 そういえば小さい時にじいちゃんにおんぶしてもらった時があったな~。 今度はその恩返しになるね。 じいちゃん…。 そして、俺はじいちゃんをおんぶしてショックを受けたのだ。 とても軽かった。 それはあまりにもショックが大きすぎた。 じいちゃん… 病気と闘って頑張ってるんだね。 そんなボロボロの身体になるまで頑張って… もういいよ。そんなに一人で頑張らなくても…。 俺は心のどこかでリング場で病気と必死に闘ってるじいちゃんに白タオルを投げていたのかもしれない…。 無事に家に到着。 じいちゃんが俺の肩を二回トントンと軽く叩いて耳元でささやいた。 「ありがとう…」 その言葉が今もまだ鮮明に頭の中に残っている。
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