早く戻りたい。

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早く戻りたい。

ある日僕たちはとても寒いところに連れて行かれた。 今までいた暖かいところに早く戻りたい。 僕たちは寄り添ってその寒さに耐えていた。 しばらくすると、お母さんがいないことに気づいた。 お母さんのにおいを探すけど、お母さんのにおいどこもしなかった。 でも、僕には兄弟がいる。お母さんがちょっとぐらいいなくたって平気だ。 しばらくすると兄弟の声でない声がたくさん聞こえるようになってきた。 「うわー子猫だ、かわいい」 「えー本当?見せて見せて」 僕の兄弟が取られてしまった。 僕の兄弟だぞ。返せ。返せ。 「何だこの黒猫うるさいな。目やにだらけで汚ねーし、よだれもすげー。」 僕の兄弟を取り上げた奴らがなにか言っている。でも、僕には何をいっているかよくわからない。 気がつくと僕の兄弟は一人いなくなってしまった。 とってもとっても悲しいけど、僕にはもう一人の兄弟がいる。 だからまだ平気。
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