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一人。
とってもとっても時間がたった。
さっきよりも寒い。
「ね、お父さん。お母さん。言ったとおりでしょう。かわいい猫さんがいるって」
また、兄弟でもお母さんでもない奴の声がした。
「本当ね。こんな寒い日に捨てるなんて本当にかわいそう。それに今日は」
「ねっ、お父さんこの子たち飼ってもいいでしょ?そうしないと、この子たち寒くて死んじゃうよ」
また僕の兄弟が連れて行かれちゃうのかな。
それは嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。
「ほら、猫さんだってお家につれてってっていてるよ」
「ヒロはちゃんと猫さんの世話ができるのかい」
「うん!絶対するよ。毎日ご飯だってあげるし、お散歩だっていってあげるもん」
嫌だ。嫌だ。一人は嫌だよう。
一人になったら僕、どうしたらいいの。
「そうかい。でも、飼うのは一匹だけだよ。うちはマンションで家が大きくないないんだからね」
「どうして。そしたら、残されたもう一匹の猫さんがかわいそう」
「大丈夫よヒロちゃん。もう一匹の猫さんも私たちみたいに誰かが拾ってくれるわ。そしたら、その猫さんもさびしくないでしょ」
怖いよ。
また、みんなのいた場所に戻りたいよ。
「………わかった」
「そうかい。いい子だ。ん、こっちの黒猫は……だいぶ弱ってるな。ほらヒロこの白い子にしなさい」
「お父さん、あっちの黒猫さんは」
「あっちの黒猫さんは眠たいみたいだから、起こしちゃったらかわいそうだろう」
「うーん……わかった。こっちの白猫さんにする」
「ちゃんと面倒みるのよ、ヒロちゃん」
「うん。えへへ、この子なんて名前にしようかな。そうだ、サンタさんのお願いはこの子のお家にしてもらお」
お母さん。みんな。どこいったの。
僕、どうしたら…いいの。わからないよ…。
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