一人。

1/1
前へ
/6ページ
次へ

一人。

とってもとっても時間がたった。 さっきよりも寒い。 「ね、お父さん。お母さん。言ったとおりでしょう。かわいい猫さんがいるって」 また、兄弟でもお母さんでもない奴の声がした。 「本当ね。こんな寒い日に捨てるなんて本当にかわいそう。それに今日は」 「ねっ、お父さんこの子たち飼ってもいいでしょ?そうしないと、この子たち寒くて死んじゃうよ」 また僕の兄弟が連れて行かれちゃうのかな。 それは嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。 「ほら、猫さんだってお家につれてってっていてるよ」 「ヒロはちゃんと猫さんの世話ができるのかい」 「うん!絶対するよ。毎日ご飯だってあげるし、お散歩だっていってあげるもん」 嫌だ。嫌だ。一人は嫌だよう。 一人になったら僕、どうしたらいいの。 「そうかい。でも、飼うのは一匹だけだよ。うちはマンションで家が大きくないないんだからね」 「どうして。そしたら、残されたもう一匹の猫さんがかわいそう」 「大丈夫よヒロちゃん。もう一匹の猫さんも私たちみたいに誰かが拾ってくれるわ。そしたら、その猫さんもさびしくないでしょ」 怖いよ。 また、みんなのいた場所に戻りたいよ。 「………わかった」 「そうかい。いい子だ。ん、こっちの黒猫は……だいぶ弱ってるな。ほらヒロこの白い子にしなさい」 「お父さん、あっちの黒猫さんは」 「あっちの黒猫さんは眠たいみたいだから、起こしちゃったらかわいそうだろう」 「うーん……わかった。こっちの白猫さんにする」 「ちゃんと面倒みるのよ、ヒロちゃん」 「うん。えへへ、この子なんて名前にしようかな。そうだ、サンタさんのお願いはこの子のお家にしてもらお」 お母さん。みんな。どこいったの。 僕、どうしたら…いいの。わからないよ…。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加