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静は翌日より巴のもとに通いつめるようになった。
「巴様、女性でも戦場に立つ事が出来るのですか?」
そう真剣に巴につめよったのは昨晩のことである。
「静殿はなぜ戦場に立ちたいと思うのだ。」
巴は静の言葉を否定せず、静に問い掛けた。
静は意を決したように率直に答えた。
「私には好いた人がおります。いつかその人に再会した時、傍から離れたくない。離れなければ、不安になることはない。有事には守る事が出来る…そう思うのです。」
巴は真剣な眼差しで話を聞き、そしてうなずいた。
「女性が戦場に立つという事は並大抵のことではない。それでも希か?」
「はい、それでもお側におりたいと思います。どうか巴様、私を戦場に立つ事が出来るようにしていただけませんでしょうか?」
「分かりました。明日から私の館に静殿を呼びましょう。そうすれば静殿も来やすいでしょう。くれぐれも私が女性であることは内密にお願いします。」
巴は、約束どおり静を館に呼び寄せた。
「静は昨日おられた方に気にいられたのね。いいわね。」
そんな周りの声に静はただあいまいにうなずいた。
巴の館で静は武術を学ぶ事になった。剣術に馬術、鎧の付け方まで多岐にわたった。
「静殿は、過去に剣術をたしなんでいないか?」
そう尋ねたのは休息の時の事だった。
「幼き時に、少し手ほどきを受けました。」
巴は納得をしたようだ。
「さぁ、また続けるか。」
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