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翌日以降は牛若と薬草を探す静の姿があった。
静には牛若が思う以上に薬草の知識を持っており、静に聞きながら薬草を探すのが常だった。
二人で薬草を探すうちに様々な話をし、打ち解けていった。
静の祖父母の調子が良くなった後も二人の関係は続いた。
薬草を探さない時は専ら牛若は兵法書を読んでいた。
「牛若はお坊さんになるのではないの?」
そんな姿に静は疑問に思ったのだ。
「静は文字が読めるのか?」
少し悲しそうに静は答えた。
「お爺さまから…。先の戦で父上は…、もう必要ないのに。」
牛若は書物を読む手を止め静の横に座り直した。
「悪い事を聞いたな。私も同じだ。先の戦でな。私は父上の仇をとりたいのだ。」
牛若は初めて人に自分の気持ちを伝えた。
「私は来たる時に備えているのだ。」
「来たる時…、私も覚えることが出来るかな?」
牛若は力強くうなずいた。
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