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「春流(ハル)ー!!朝よー!起きなさーい!!」
――ガチャッ、と春流と言う少女の部屋を開けながら、入ってきた人物は言う。
エプロンをつけたその女性は、少女に近づいていくが、起き上がる気配はない。
そんな時春流と呼ばれた少女は、今入ってきた女性に背中を向けるようにベッドの上でゴロンと寝がり打つ。
そして言葉を発した。
「んー、もう少しだけ寝かせて…」
「…………朝だって言ってるでしょっ!!起きなさい!!遅刻するわよっ!!」
その言葉を聞いて、女性は少女の耳元で大きな声を叫んだ。
それが効いたのだろう。
ベッドの上で寝ていたその少女は、ビクリッと体全体震わせると、耳を押さえながら起きた。
「…っ、 わ、分かったよ。起きる」
そうは言ったものの眠そうな少女、春流。
まだ寝起きなのでボケーとしているのが分かる。
そんなまだボヤけている頭で、今入って来た人を見ながらこう思っていた。
(あーぁ。耳が痛いんだけど…。てか、お母さんってなんで毎回怒鳴るの?)
そう部屋に入って来たのは、その少女の母であった。
少女の心の声が聞こえたのか、その少女の母は黒いオーラが出ているような…そんな感じを受けるような表情をしているのだ。
「春流、今、何か言ったかしら?」
――ブンブンブン!!と春流という少女は首が取れるのではないかと思う程横に振る。
それを見て母は少女ジロリと睨むが、それも数秒、少女の母はふぅ、と溜め息をつくとこう言った。
「まぁ、良いわ。ほら、早くご飯食べにきなさいね」
クルリ、そう言うと少女の母は、扉へと歩いていく。
ガチャッ…そして扉を開けて部屋を出て行ったのであった。
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