chapter1 ‐プロローグ‐

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  ~~回想中~~ あれは1ヶ月前―…。 夕方、春流が何時ものように新聞(夕刊)とその他の手紙などをポストに取りに行くと、春流宛てに手紙が入っていた。 春流は首を傾げる。 (誰からだろう…?) そう思いながら、その場で手紙を眺める…が。 ずっとそこで見ている訳もいかないので、春流は部屋に戻る事にしたのであった。 ――バフッ、そんな音を立て、春流は部屋にあるベッドの上に座る。 ふわふわとしていて、とても気持ちが良いベッド、春流のお気に入りのベッドである。 そんなふわふわのベッドの近くにある勉強机の上に置いてあるハサミを使って、春流は今さっきポストに入っていた手紙の封を切った。 するすると出していくと…、春流の目に“入学許可証”という文字が目に入る。 「……は?」 一度目を擦ってみるが、手紙に書かれているのは、やはり“入学許可証”。 春流は固まる。 そして次の瞬間には家中に響き渡るような声をあげて叫んでいた。 「はぁーーー!!?ちょっ、にゅ、入学許可書って!」 いや、落ち着け、と自分で言ってみるも難しい事だった。 春流はこの間、自分の行きたい高校に合格したばかりだ。 それなのに、“入学許可書”―…どう考えてもおかしい。 しかも前期で合格したという事もあって、第一志望校以外は受けていない筈なのに。 「いやいや、私第一志望受かったばかりだからね。…と言うか、これ、何処の学校だ――って、桃宮学園(モモミヤガクエン)!?」  春流はまた驚き固まる。 また目を擦ってみるが、何度見ても"桃宮学園"なのだ。 春流の頭は今、混乱状態で、もう何をしても良いか分からない位だった。 (桃宮学園って、超お金持ちで超エリートの人がいくあの高校のことだよね?あり得ないでしょ!!第一私の家、普通だから!!) 春流は今度は、封筒に目を向けてみる。 やはりそこには間違いなく“桜川春流様”と印刷されて。 これは自分のもの宛に届いたものだということが、現実に信じられなかった。  
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