・しの・

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俺一年ぐらい立ち直れんかった 壁にさ誕生日に妹がくれた 「にーやん達の顔」って絵があってさ まだ六歳だから下手くそでさ でも兄弟笑ってんの 俺と一番上の兄貴の間でカチューシャ付けた妹が笑ってる絵 もうそれを見るたびに泣けてくんだよ でもわが家でなちょっと不思議なことが起きるようになったのは、それからなんだ。 夜中にばあばの部屋から声がすると思ったらばあば(ボケてはない、霊感あり)が 「あぁじーさん紫乃連れて来てくれたん。そう、その服気にいっとんのなぁ、あぁ、そうか、そうか、来れて嬉しいか」 障子の隙間から見ると、ばーちゃんが笑ってんの。相槌まで打ってさ テーブルにお茶と妹が好きだった瓶のサイダー。 俺ついついばあばの部屋開けちゃった そしたらばあば慌てもせずに 「ヒロトーじーさんとしのがそこに着とる、挨拶せぇ」 って俺にまでお茶出すし 「これ飲んだら、帰るとこまで帰りんさい」 ってばあばは、笑ってた。 まあそのくらいは序の口 おかんが台所でホットケーキ作ってたら一皿の一枚の半分が亡くなってたんだって 歯型ついててどう見ても、しのの口の大きさでさ 「あの子、ホットケーキも好きやったからなぁ」 って、おかんとばあば涙してんの あとは家に居るときに、しのの声を聞いたことは全員ある おとんが 「きっと、この家が好きで出ていかないんだろう」って言ってたな
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