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占い師と遇ってから、氷瑛 静夜(ひえい せいや)は幸せな毎日を過ごしていた。
「この前の数学の小テストを返すぞ。今回も……満点は氷瑛だ。少しは見習うよーに」
「静夜! おまえ最近どうしたんだよ。やけに成績良いじゃんか。なんかしてんのか?」
「今までと変わらずなーんもしてないよ。とうとう俺にも運が向いて来たってことだろう」
最近まで彼の成績は赤点ギリギリの時が多かった。しかし、あの占い師と遇ってからというもの、好成績を収めるようになった。
担任としては喜ばしい限りだが、周囲の生徒にとっては不思議でならなかった。
放課後、彼は楽しそうに帰宅することが増えた。
家で待っているのは優しい両親とかわいい妹。
「ただいまー」
「おかえり、静夜。おやつはテーブルの上にあるから」
「わかった」
どこにでもある風景。しかしこの風景も占い師と遇ってから見られるようになった。
今までといえば、静夜と両親が会話をすることは一切なかった。
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