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「なんで無視したの?」
怒った顔で責められたのは1時間前。
仕方なかった。
奏の隣には奏と同類の人が男も女もたくさんいた。
話しかけるなんて出来ない。
僕は奏に不釣り合いだとまた自覚する。
その輪には決して入れないと自覚するんだ。
惨めで
悔しくて
羨ましくて……
「奏は友達といただろ。それに、いちいち弟に話し掛ける兄なんていないよ」
思ってもない事を口に出して後悔する。
その繰り返し。
格好悪い。
それから口論になって奏は部屋を出ていった。
「…もう、良い」
その言葉が僕の心に大きな穴を開けた。
好き
大好き
離れたくない
いつも側にいたい
ねぇ…
奏、奏…
抱きしめて
想えば想う程に愛して、傷口が広がっていく。
───響(キョウ)、俺の事好き?
───…普通
いつもの会話。
平静を装って答えていた。
大好きだったのに。
好きと言ったら負けだとか、馬鹿な事を考えてた。
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