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木々の焼ける匂いと血の匂いが交ざり合い、大地を埋め尽くしていた。
人々の呻き声と泣き声以外に聞こえるものはない。
絶望と荒廃がこの国を支配していた。
人々は頭上に垂れ込める厚い雲を取り払おうと最初はあがいていた。
あがいてもがいて疲れ切ったとき、人々の心の内にまでその雲は侵入してきた。
そして、人々を内から支配する。
一人、また一人と支配されていく。
その光景をみて、皆諦める事を覚えようとした。
支配されることを望もうとした。
そんなとき、彼女は現われた。
国で唯一の黄金色の髪をなびかせ、銀色の聖獣と共にさっそうとどこからともなく現われ人々に訴えた。
皆で力を合わせよう、と。
彼女は不思議な力で人々の内に入り込んだ雲を吹き飛ばし、青空を見せた。
けれど彼女のことを雲が見逃すはずもなく、何度も何度も彼女の内に入り込み力を封じるべく、襲い掛かった。
聖獣と共にになんとか凌いでいた彼女だったが、それはとても危ういものだった。
そんな彼女を守るべく、立ち上がった者達がいた。
あるものは、器用さを生かして彼女の助けとなった。
あるものは、身体能力の高さを生かして彼女の助けとなった。
あるものは、知識を生かして彼女の助けとなった。
あるものは内に秘めし力を生かして彼女の助けとなった。
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