プロローグ

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やがてその者達は、存在自体が彼女の支えとなった。 そして彼女達は力を合わせ、雲を打ち払い、ついにこの国に平和をもたらした。 人々は歓喜し、彼女自身と彼女と共に戦った仲間を讃えた。 そして、この国を再生させる際に彼女を王に、と望んだ。 この国が平和でいるためには彼女の力が必要だ、と。 けれど、彼女は仲間達にだけ別れをつげ、現われたときと同じように突然消えてしまった。 落胆する人々に仲間達は告げた。 彼女は再びこの国が厚い雲に覆われたとき姿を現す、と。 そしてこうも告げた。 しかしそれは彼女の望むことではなく、彼女に感謝しているのならこの国がこれから先、未来永劫平和でいられるよう努力してほしい、と。 人々は彼女に感謝の気持ちを伝えるため、その言葉通りにしようと皆で力を合わせ、この国の平和維持に努めた。 その際に、彼女と彼女の仲間達のことを忘れないように、と仲間達の名前を貰い部族を作った。 そして、それぞれの部族を仲間達の姿に似せた。 最初、人々は彼女と仲間達の合わせて六つの部族を作ろうとした。 けれど、人々は彼女に似た部族だけは作ることができなかった。 そのため、六つになるはずだった部族は五つになってしまった。 仕方がなく人々は彼女のために、彼女に特別な名前を贈ることにした。 人々は知恵を絞り合い、何日も何日もかけて名前を決めた。 人々は彼女のことをこう呼ぶことにした。 アリス、と。
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