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「先生。妻に…伝える事ができました。やっと…本当のことを」
モモカに内緒で通い慣れたクリニックの医師。
彼は…ずっとモモカに伝える事をすすめていた。
「良かったですね。これで少しは快方に向かうと思いますよ。あなたの場合…心因性ですから、言えない事も少なからずストレスになっていたんでしょうから」
眼鏡の奥の瞳が優しく微笑んだ。
…モモカに別れを切り出した今となっては治る事に意味はないけれど…
「よくなんか、ないですよ。僕はこの先…一人で歩いていく自信なんてまったくないんです。怖くてしかたないんですよ。こうなって初めて…妻の存在の大きさを知りました」
医師が僕の肩に手をかけた。
「あなたは優しい人です。そして…その優しさがあだになって弱い人でもあります。でも…そんな優しいあなたが選んだ人だ。間違った答えは…出さないと思いますよ」
医師の声がどこか遠くから聞こえるように思えた。
正しい答えなんて…
どこにあるんだろう…
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