欠けた月。STORY BY ндι

2/6
前へ
/51ページ
次へ
…正直ちょっと怖いなって感じてたんだ。 モモカの鬼気迫る感じが。 出せばいいセックスを強要されるのもつらかった。 それを許していた僕も甘かったのかもしれない。 でも、本気でモモカが子供を望んでいるから…何も言えなかった。 どこかの政治家が「女は生む機械」と言っていたけど。 僕は完全に「生殖マシーン」だった。 不妊検査では狭い個室に押し込められ、看護師からエロ本と採取ケースを手渡される。 …なんか屈辱だった。 モモカはもっと大変なんだから…って我慢したけど。 ちょっとした愚痴さえも…モモカは聞いてはくれなくなっていたから… 「あたしはもっとつらい」 うん、確かにそうだと思う。 でも僕は…大変だね、の一言がほしかっただけなんだ。 いくら子作りの為とは言え、セックスは愛情をこめてするものだと思うから。 モモカをちゃんと愛したかったんだ。              もう僕はモモカを愛してあげる事ができないカラダになった。 モモカの望む子供も作ってはあげられない。 愛してる。 だから僕からの最後のプレゼントは… 別れてあげることだよ。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1283人が本棚に入れています
本棚に追加