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鋼の檻の中で青い鳥が鳴く。
ここから出して、と。
青い鳥はさらに鳴いた。
青い空の下を自由に飛んでいたいのよ、と。
けれどもその思いが人間に伝わる事はなかった。
小鳥は病んだ。
差し出された食事がどんなにおいしいものであろうとそれを拒否し続けた。
すると今度は人間がそれに病んだ。
鋼の扉がその時になってようやく開き、人間の手をすり抜けてふらつきながらも窓の外へ飛び立った小鳥。
憧れた青い空の下へ。
そう、自由が手に入ったと思ったんだ。
生まれてからずっと人の手の中で生きてきた青い鳥。
「外の世界」での生き方を知らない、自分の事でさえも知らなすぎた青い鳥。
人の匂いがしみついた体を羽ばたかせてあてもなく遠くへ。
果たして自由は手に入ったのだろうか。
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