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ギャーギャー言ってくる女子生徒らを無視して、龍二は呉禁にある提案を持ちかける。
「なあ呉禁。もしこのお姉さん達が、今から三秒以内に席に戻ってくれたらお友達になってやってもいいよな?」
呉禁がこくんと頷くと、女子生徒は人間ではない速さで席についた。
「んじゃ、劉封、後はよろしく」
自分の席に戻っていく龍二を見ながら、劉封はクスリと笑った。その後、残りの者の紹介に進んだ。
(あっ。次趙香じゃん。大丈夫かなぁ?)
呉禁と変わらぬ人見知りである趙香のことが、今になって不安になってきた。
「あっ、えっと、その、ちょ、趙姫香(ヂャオ・ヂェンシィァン)と言います。に、日本語読みはちょうひめかです。よ、よろしくおねがいしましゅっ」
呉禁よりかはマシだったが、最後の最後で焦ったか舌を噛んでしまった。
「か、噛んじゃった」
元々カワイイ顔をしていたのだが、舌を噛んだことに加えその仕種で更に男共のハートをガッチリ掴んだ。
そんな中、クラス一のプレイボーイである高野内(こうのうち)が「俺と付き合ってくれ~」とか叫びながらル〇ン〇世のように趙香めがけてダイブしていた。
何と無くこうなるだろうと予想はしていたが、この距離からでは間に合わない。かといって宿龍を出すわけにもいかなかった。
だが、高野内は趙香に触れる前に何者かの渾身の鉄拳を顔面にモロに喰らい、教室の端まで吹っ飛んでいき、ロッカーに背中を強打し、悶絶していた。
(ナイスと言いたいところだが、アンタ何やってんだー!!!)
龍二は高野内を殴り飛ばした女子生徒の正体を知るや心の中でツッコんでしまった。
その女子生徒は、煙を上らせている拳をフッと吹いた。
「姫に不埒な真似をする輩はこの私が許しません」
「ちょっ、華龍(ファロン)姉さん!」
慌てる趙香を尻目に彼女の宿龍である華龍は男顔敗けの阿修羅の表情で男共を睨みつけ名乗った。
「趙姫香の〝双子の姉〟の趙華龍(ヂャオ・ファロン)です。よろしくお願いします」
口調は丁寧だが、先刻の行動を見ていた男子諸君の顔はかなり引きつっていた。すかさず龍二は伏龍を介して華龍に話し掛ける。
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