キセキノショウタイ

2/13
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「来週の24日さ、遊びに行かない?」 「え、何で?」 「ほら、振替休日だしさ、学校も無いし、それだけ。」 「…うん、いいよ。」 僕は、さっきまでチエちゃんと交わしていた会話を思い出して、にやつきっぱなしだ。 片思いの娘をクリスマスイブのデートに誘ったら、OKが出た。 一応確認の為に、当日はちゃんと言葉にして伝えるつもりだが、これはもう、告白に成功したも同然だろう。 高校3年間、色恋沙汰のいの字もなかった僕に、やっとピンク色の未来がやってくる。 忘れられないイブを過ごしちゃうぜ!そう意気込めば、心なしか小便のキレが良くなった。トイレで1人だというのに、鼻歌が出てくる。野太い声での選曲は「恋人がサンタクロース」 チエちゃんはクラスでも5本の指に入る美女である。流行りに敏感なタイプではないが、元々の顔立ちが美しい。しかもお嬢様育ちらしく、品もある。部活は華道部で、着付けも出来る、いわば大和撫子だ。 そんな真面目でおしとやかなチエちゃんが、イルミネーションの輝きに思わず瞳を閉じると、僕はその唇を奪う。チエちゃんは驚きながらも僕に身を委ね、そして彼女は聖夜の天使から小悪魔に変身する・・
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!