キセキノショウタイ

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「お前、あわよくば聖夜を性夜にしてやろうとか思ってるかもしんないけど。」 オヤジみたいな事を言う奴だ。 「デートプランはしっかり決まってるんだろうな?」 デートプランー そりゃあ僕だって馬鹿じゃない。理想のクリスマスデートのイメージ位出来上がってる。 「まず、恋愛映画だろ、その後お茶して、ショッピングしながら彼女が好きなもの買ってあげてクリスマスプレゼントにするだろ、で、レストランとかでディナーして、その後夜景の見えるスポットで、告白。」 「甘い!お前は関西人の味付け位甘いわ!」 若干食い気味で渇を入れられた。 何なんだ。嫌がらせにいちゃもんか?僕はあからさまに不機嫌になってみせた。 「何がいけないんだよ。」 「イブは3日後だぞ。映画もディナーもすでに予約で満席だよ!1ヶ月前には動き出さないと。後彼女、良いとこの娘さんなんだろう。あれが欲しいの♪って指さされたもんがブランドもののバックとかでうん十万とかしたらどうすんだ、男として後に引けないぞ、金はあるのか!」 そうまくし立てられはっとした。確かにそうだ。裕二の奴、情報量だけはモテる男である。 動揺する僕の様子を察して、裕二は立場逆転とばかりに高笑いした。 「せいぜい恥かかない様に頑張りな~。じゃあな!」 そう言うと裕二は一方的に電話を切った。 くそったれが!僕はケータイを布団に叩きつけた。 でも、彼が忠告した事は本当だろう。 パソコンを起動させて、予算内に収まりそうなレストランを検索する。やっぱり。どこもかしこも「クリスマスは予約いっぱいですー」 映画だって当日券があるにせよ、並ぶのは必至だ。並んでいる間中会話を盛り上げるのは、僕のトーク力じゃ無理だろう。明日1日だけでも僕に明石家さんまが乗り移れば良いのに。 プレゼントの件だってごもっともである。お小遣いと、居酒屋のバイト代で買えるものなんてたかがしれている。 彼女の家はとてつもなく大きくて、親はベンツを2台持ってるなんて噂を耳にした事がある。そんな彼女を満足させるプレゼントなんてあげられるだろうか。 僕じゃやはりチエちゃんの男として分不相応なのか。 いや、恋に身分の差なんてないはずだ!有限会社係長の次男坊で何が悪い! とにかく計画を練る必要がありそうだ。 僕は電気カーペットの温度を強に上げてから机へと向かった。
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