3人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
プレゼントは自分で用意した方がいいだろう。
予算1万円以内で、大和撫子をいかに喜ばせるか。
女性にあげるものの代表として、アクセサリー類がある。付き合う事は確定なんだし、ここはペアリングなんてどうだろう。
しまった。僕はチエちゃんの指のサイズを知らない。そもそも、指のサイズの単位すら知らない。
またしてもネットに頼ってみると、指のサイズは号で表すらしい。ご丁寧に約何センチかが書かれていたが、残念ながらチエちゃんの指をまじまじと見たことがない。僕にそんなフェチはないのだ。
ペアじゃなくてただのアクセサリーならどうだ。
そう思ったけど、よくよく考えたら彼女は金持ちの家の娘。安い貴金属をあげたら、鼻で笑われてしまうだろう。同じ銀色でもシルバーじゃ駄目なのだ。プラチナやホワイトゴールドじゃなきゃ、彼女の元では輝いてくれないのである。
アクセサリーの線は消えた。
それこそ、バックや財布なんかどうだ。プレゼントとしてはベタである。
ブランドものは無理だけど、これらのものはセンスでごまかしが利く。安くてもセンスのあるものならば喜んでもらえる。
ところでだ。
僕ってセンス良かったっけ。
服を見る。部屋を見渡す。
深緑のセーターに、ジーンズ。部屋はほぼ、茶色と青。
センスがあるとかないとかじゃない。
無難だ。僕は無難男だ。いつでもエキストラとして溶け込める人間だ。
そんな僕が選ぶバックや財布はきっと、無難なもの。使えるけど、驚きの無いもののはず。
駄目!ロマンがない。もっと色気、そうだ、色気のあるプレゼントじゃなきゃ。
パンティ。それも黒とか赤のTバック。
違うな、色気じゃない。いやらしいオヤジがOLに渡すホワイトデーのお返しみたいだ。
変わったものがいいな。自分じゃ買わないけど貰ったら嬉しいもの、とか。
例えば…たこ焼き機なんてどうだろう。ちょっと欲しいけどやっぱり買わなくない?あれって!
いや、クリスマスプレゼントではないか。
もっとシンプルにいこうか。
図書券。
読書感想文で入賞した時の賞品か。あれ、散々本読ませといてまた読ませる気?って言いたくなるよね。
いっそのこと僕をプレゼントなんてどうだろう。童貞を捧げますって。むしろ婿養子にさせてくれと。
駄目だ。考えすぎておかしな方向にいっている。
今日はいったん寝よう。明日と明後日、2日かければいい案も浮かぶ筈だ。
僕はベッドへと体を沈めた。
最初のコメントを投稿しよう!