キセキノショウタイ

7/13
前へ
/13ページ
次へ
起きるとすでに昼だった。ヤバい、2日じゃなくて1日半になってしまった。 とりあえず服を着替える。朝ご飯を軽く済ませて、街へと繰り出した。 まさにクリスマスムードの通りを歩く。自ずとどうすればいいか分かりそうだ。 どの店もクリスマスにあやかってセールやらキャンペーンやらを行っている。斎場までもが割引セールだ。 そんな中、色んなお店でプレゼントを物色したが、ピンと来るのが見つからない。 昨日考えた通りだ。お金もセンスもない僕が、素敵なプレゼントを見つけられる訳がない。 それどころか、僕はだんだんこの街の雰囲気に悪酔いしてきていた。 クリスマスソングを流し、オーナメントを飾り、サンタの格好をした店員達が客引きをする。どの店も同じ光景。コピーのような街並み。 僕は疲れてしまい、賑やかな通りから抜け出して、一本隣の道を歩く。 結局プレゼントは見つかっていない。参ったな。早くプレゼントを決めて、デートプランを練らなきゃいけないのに。 やるせない気持ちになっていた。クリスマスはロマンチックなものだと思っていたのに、こうやってクリスマスらしく過ごそうと頑張れば、至極商業的なイベントであることに気がついてしまう。 指の先が冷たくなってきた。 何か温かいものが飲みたいな、ココアか、しるこドリンクがいい。 僕は自動販売機を探してさ迷った。が、なかなか見当たらない。 勝手知ったる我が街なのに、来たことない場所まで出てきてしまった。 自販機さえ見つかればいいのに。針のような風に身をすくめながら歩き続けると、僕はある建物にたどり着いた。 その建物が何かに気付いた瞬間、僕の頭のフィラメントが、強烈な光を放った。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加