キセキノショウタイ

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待ち合わせ時間の20分前には駅に着いた。いよいよ本番、クリスマスイブだ。 僕の家の最寄り駅に待ち合わせたが、チエちゃんはまだどこに行くか知らない。どんな反応をするか怖いけど楽しみだ。きっと気に入ってくれるはず。 待ち合わせ時間5分前。 駅の改札から、見覚えのある顔がこちらに手を挙げた。チエちゃんだ。 今日のチエちゃんは、ピンク色のマフラーをして、ベージュのPコートの下からは小花柄のスカートをヒラヒラさせ、黒いタイツに可愛らしいポンポン付きのカラシ色パンプスをはいている。 デートっぽい服装だな、僕は嬉しくなった。 「お待たせ。寒いね。」 控えめだけどマスカラを塗った睫をパチクリさせて言う。僕は何だか恥ずかしくなって目をそらした。 「じゃあ、行こうか。」 まともに顔も見ないまま僕は歩き出した。彼女は黙ってついてくる。どこへ行くかとか、あまり詮索しないところも、控えめで素敵だ。 街では若いカップルがいちゃついていた。下品な笑い声をあげながらカラオケへと入っていく。彼女はそれを一瞥し、呆れた顔をした。良かった。彼女が望んでいるのはカラオケなんかじゃない。 騒がしい街を過ぎ、静かな通りへと出る。チエちゃんは少し歩幅を大きくした。 「私、このくらい静かな方が好き。」 ビンゴ!僕は心の中で叫んだ。このプラン、間違いじゃなかった。きっと今日は最高の日になるぞ、ついでにチェリーボーイ卒業だ!父さん、僕は今日、立派な桜の大木になります! 僕は小走りになっていた。ウキウキが伝わったのか、チエちゃんは笑っている。理想のカップルって、こういう事なんじゃないか?ジョンレノン&オノヨーコなんて目じゃないぜ! 目的の建物が見えた。僕は何の躊躇いもなく、教会の前で止まり、言った。 「今日はまずこの教会で過ごそうと思うんだ。」
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