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君に出会った奇跡
「はい、じゃあテキストの47ページ開いて~」
三十路の近い濃い化粧の女教師の間延びした声を合図に、教科書をめくる音がクラス中に広まる。
季節は夏から秋に変わる頃、俺たち受験生は本腰入れて勉強に取り組み始める時期に入った。
「はい、じゃあ佐伯(サエキ)くん、この問題といて~」
女教師が俺を指名する。
俺は黒板に出て、数学の問題を解いてみせた。
「うん、さすが佐伯くん!席戻っていいわよ~」
「おい、翔(ショウ)!あの問題意味わかんねぇんだけど」
席に戻れば、クラスメートの関場亮平(セキバリョウヘイ)がヒソヒソ声で話しかけてきた。
「あ~あれはこの公式をここ、そのあとにこの公式をここに使えばいいだけだよ」
「え~っと…ここにこれで、こっちにこうして…あっほんとだ!サンキュ♪」
俺の名前は佐伯翔。自分でいうのもなんだけど、成績は優秀。ルックスはいたって普通。スポーツは人並みにこなせます。
愛用のメガネはフレーム青のちょっといかついメガネです。
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