第一章

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外は雪がしんしんと降っていた。 降り積もった雪が白銀の世界を創りだしていた。 ひらり、ひらりと落ちてくる白い雪片を、ロイドは手を伸ばしてそれを掌で受けた。 雪は手袋の上でたちまち溶ける。 それを見ていたコレットがふふふ、と笑った。 「どうした?」 「え?うん……ちょっと昔のことを思い出して、懐かしいなーって思って」 「昔のこと?」 「うん。私が天使化してて、感覚がなかったときあったでしょう?だけどみんなが……ロイドが私を治してくれた」 ロイドは首を振った。 「俺じゃない。おまえを本当に助けたのは、アルテスタさんだよ」 「そうだけど……でもそれも、ロイドが頑張ってくれたからだよ?だから、今の私がここにいる─」 「そっか……」 コレットは続けた。 「それでね、私が“寒い”って感じたのはここでなんだよ?」 ロイドは、はっとした。 そしてコレットが外で話をしようと言った理由が、ようやく理解できた。 「コレット、ちょっと上行かないか?」 ロイドはバルコニーを指差した。 そう─かつてクラトスを父親と認めることができ、ユグドラシルと戦うことを決意したあの場所だ。 「うん。私も……そこに行きたかったん─あっ」 バルコニーに目をやっていたものだから、段差につまずいて危うく転びそうになるところを、ロイドは受け止めた。 「えへへ、ごめんね」 「ったく、しょうがねえなぁ……ほら」 ロイドは腕を差し出した。 コレットは一瞬びっくりしたような顔になって、それから嬉しそうに微笑み、その腕に自分の腕をそっと絡めた。 そうして、ゆっくりと歩いていく。 ロイドは自分で言っておきながらも、とても気恥ずかしかった。 「あ、─ほら!ついたよ?」 コレットに引っ張られる形で、ロイドは他に人のいない展望台に立った。
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