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彼らは心で会話をしながら、しばらくの間二人だけの世界に浸っていた。
どれくらい時間がたったのだろうか。
先程まで灯っていた家々の明かりはほとんど消え、街頭の明かりが目立つよいになっていた。
ロイドは急に背中に寒さを感じた。
「は、はくしょん!」
ロイドは顔をコレットから逸らしてくしゃみをした。
コレットはロイドに体を寄せていたため、それほど寒くはなかった。
目には見えない“暖かさ”もあった。
しかし、ロイドはコレットを抱き寄せる格好だったので流石に肩が冷えたのだ。
コレットはびっくりして目を開けた。
申し訳なさそうな顔のロイドを見て、判ったように頷き言葉を発した。
「そろそろ……戻る?」
ロイドは苦笑した。
「ごめんな……寒くなっちゃって。じゃあ、戻ろうか」
そう言って、コレットと離れようとした瞬間。
コレットは“待って”と言わんばかりにロイドの腕を掴んだ。
「ん?どうした?」
ロイドは首を傾げた。
「んと、戻るまでは……腕組んでても……いいかな?……////」
コレット頬が少し赤くなっていた。
その言葉がロイドの胸をグッと掴み、離さなかった。
「あ、ああ。いいけど」
それを聞いたコレットは嬉しそうに微笑むと、ロイドの腕に抱き締めるようにそっと腕を絡めた。
そして二人はゆっくりと、一歩一歩確かめるように歩きながら、宿に戻って行った。
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