第二章

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(散沙雨!) ロイドは丸太に向かい無数の突きを繰り出す。 (秋沙雨─) そこから秘技へと繋げ、奥義・騷雨双破斬を決める。 虎牙破斬同様、右腕で斬り上げ左腕で斬り下げた。 (今だ!) ロイドは先に着地した右足に体重を掛け、大きくバックステップをとった。 丸太との距離凡そ3メートル。 「よし……これで大丈夫だ」 ロイドは木刀を腰に収め、ふっと息をはいた。 今のロイドに、今朝の悩みは微塵も無かった。 (俺は、何で悩んでたんだろ……) ロイドは自分に問いかけたが、思い出せなかった。 (ま、いいか) ロイドは自分の出した答えに苦笑した。 「ぴぴぴっ、ぴぴっ」 急に小鳥の鳴き声がした。 聴こえた方に目線を移すと、小鳥が二羽、じゃれ合いながら丸太の周りを飛び回っていた。 (おっ、可愛らしいらしいなぁ……) 二羽は丸太に止まると、ロイドを見て首を傾けながらぴぴぴっと鳴いた。 ロイドは二羽に見入っていた。 後ろから誰かが迫っていることに気付かずに……
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