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「ばぁ!」
ロイドの背後から誰かが背中をどんっ、と押した。
「うわぁ!」
ロイドは体制を崩し前に倒れそうになったが、上手くバランスをとり、なんとかこらえた。
「えヘヘ。気づかなかったでしょ?」
その声にロイドが振り向くと、コレットが気持ちかがみになって、首を少し傾けていた。
「ああ。気づかなかったよ」
ロイドは苦笑いしなから答えた。
「ねぇ、今、何見てたの?私に本当に気づいてなかったみたいだけど……?」
コレットはロイドに近づきながら尋ねた。
「小鳥を見てたんだ。あそこに小鳥が二羽じゃれてるだろ?ほらっ、丸太のところの─」
ロイドが指を指したとき─
「あっ!あの小鳥さんたち、今朝、私も見たよ!」
コレットは声を張り上げた。
「えっ、そうなのか?」
「うん!起きて窓を開けたら二羽で空を飛んでたの。見ていたら私のすぐそばの桟に止まったの!それでね、私の方を見てぴぴって鳴いたんだよ!スッゴく可愛かったんだよ!」
夢中になって話すコレットの横顔が堪らなく可愛かった。
ロイドはコレットの方が断然可愛いと思った。
まぁ、小鳥と比べるのも可笑しなことだが。
ロイドはそれを口に出そうとした。
(いや、朝から言う台詞じゃないな)
ロイドは思い返すと、コレットに微笑んで見せた。
「そうか。よかったな、コレット」
「うんっ!」
コレットも微笑み返しながら言った。
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