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それからロイドは食材を買いに町にでた。
2年前にアルテスタさんを医師に見せるため、一度足を運んだ場所でもあったので、食材屋があることは判っていた。
必要な食材を買い宿に戻った。
「ロイド、おかえり~。寒かったでしょう?はい、これっ。冷めないうちに飲んでね」
そう言って温かいコーヒーを渡してくれた。
「おっ、ありがとなコレット」
ロイドはコレットからコップを受け取ると同時に手だけてなく、彼女の笑みから心も一緒に温まる感じが伝わってきた。
ロイドはなんともぎこちなく感じたが、決して不快なものではなかった。
ロイドは照れを隠すようカップに顔を近づけながら口を付けた。
「ツツツ……ん~丁度いい濃さだ。コレット、最近コーヒー入れるの上手くなったよな?」
「でしょ、でしょ!?この前ロイドが買い出しに行ってるときに、宿に樽が置いてあって、触れてみたら、いきなりおっきなフォークを持ったコックさんが出てきたんだよ」
「ああ……あの“ワンダーシェフ”とか言うやつか」
「へぇ~“ワンダーシェフ”って言うんだ。でね、その人が“美味しいコーヒーの入れ替えを教えてあげよう”って言って教えてくれたんだよ」
コレットは嬉しそうに言った。
「そうだったんだ。オレもあの人から色々教わったんだぜ?“みそおでん”ってあっただろ?」
ロイドはカップをテーブルに置くと買ってきた材料を取り出し始めた。
「うん。甘じょっぱい味噌をこんにゃくにつけて食べるやつだよね?」
「そうそう。あれもワンダーシェフに教わったんだ」
「そうだったんだ。また食べたいなぁ」
コレットはロイドの顔を見ながらお願いするように言った。
「ハハ……なんかそういう気がしたんだ……ほらっ。さっきリゾットの材料と一緒にみそおでんの材料買って来たんだ。これから作るから少し待っててな」
「本当!?わぁ~久しぶりだね。楽しみだなぁ」
「だろ?よしっ。それじゃ作るか」
ロイドは右手を胸の高さ位まで上げで握りしめながら言った。
「うんっ!」
コレットも返すように右手を握りしめた。
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