第一章

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それからロイドは食材を買いに町にでた。 2年前にアルテスタさんを医師に見せるため、一度足を運んだ場所でもあったので、食材屋があることは判っていた。 必要な食材を買い宿に戻った。 「ロイド、おかえり~。寒かったでしょう?はい、これっ。冷めないうちに飲んでね」 そう言って温かいコーヒーを渡してくれた。 「おっ、ありがとなコレット」 ロイドはコレットからコップを受け取ると同時に手だけてなく、彼女の笑みから心も一緒に温まる感じが伝わってきた。 ロイドはなんともぎこちなく感じたが、決して不快なものではなかった。 ロイドは照れを隠すようカップに顔を近づけながら口を付けた。 「ツツツ……ん~丁度いい濃さだ。コレット、最近コーヒー入れるの上手くなったよな?」 「でしょ、でしょ!?この前ロイドが買い出しに行ってるときに、宿に樽が置いてあって、触れてみたら、いきなりおっきなフォークを持ったコックさんが出てきたんだよ」 「ああ……あの“ワンダーシェフ”とか言うやつか」 「へぇ~“ワンダーシェフ”って言うんだ。でね、その人が“美味しいコーヒーの入れ替えを教えてあげよう”って言って教えてくれたんだよ」 コレットは嬉しそうに言った。 「そうだったんだ。オレもあの人から色々教わったんだぜ?“みそおでん”ってあっただろ?」 ロイドはカップをテーブルに置くと買ってきた材料を取り出し始めた。 「うん。甘じょっぱい味噌をこんにゃくにつけて食べるやつだよね?」 「そうそう。あれもワンダーシェフに教わったんだ」 「そうだったんだ。また食べたいなぁ」 コレットはロイドの顔を見ながらお願いするように言った。 「ハハ……なんかそういう気がしたんだ……ほらっ。さっきリゾットの材料と一緒にみそおでんの材料買って来たんだ。これから作るから少し待っててな」 「本当!?わぁ~久しぶりだね。楽しみだなぁ」 「だろ?よしっ。それじゃ作るか」 ロイドは右手を胸の高さ位まで上げで握りしめながら言った。 「うんっ!」 コレットも返すように右手を握りしめた。
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