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帰り道、ふと聞こえた声に
俺は耳をかたむけた。
『おかあさぁん…!うぁぁぁん!』
誰か泣いているようだ。
俺は反射的に声の主を探して
公園の中を走った。
「どうした、ガキ。」
見つけたのはひどく痩せて
小動物のように震えながら
泣く少年だった。
背中のランドセルで
小学生だと伺える。
「おい、何泣いてんだよ。」
俺はいつもよりは声を
優しくして(つもり)尋ねる。
「お、おかぁさんがっいないのー!」
すると少年はしゃっくり
あげながらそう言った。
どうやら迷子のようだった。
「そうだったのか。とりあえず泣き止め!兄ちゃんがお前の母ちゃん見つけてやるから!」
「…ふぇぇん!うぁぁ!」
少年は泣き止まない。
俺はどうしたらいいか
わからなくなって、
とりあえず頭を撫でてみた。
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